働き方改革関連法案が最初にでたとき、高度プロフェッショナル制度の新設とともに、規制緩和の目玉として「裁量労働制の対象拡大」が提案されていたのですが、猛反発に合って削除されたのでした。
削除された理由は、「法案の根拠となる労働時間データが不適切だった」ということでしたね。
思い出してみましょう。いったい何のデータ不適切だったか・・・というと、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、一般労働者より短いというデータもある」・・・といった衆院予算委での首相答弁がキッカケとなったのでした。
結局、「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、一般労働者より短いというデータ」は無かったのです。
今回の「社名公表」は、直接的には「野村不動産」の事件が原因とのことですが、働き方改革にともなう法改正にも関連しているんじゃないかな・・・って気配を感じるのは私だけでしょうか?
ちなみに、この裁量労働制とは、「労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用される」とされる制度です。
制度の名前からは想像しにくいですが、「みなし労働時間制」のひとつであり、実際の労働時間にかかわらず「労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる」のが大きな特徴です。
労使でキチンと話し合い、適切なみなし時間が設定されることを想定した制度ですが、現実は、かならずしも「想定された通り」ではなく、数々の違法事案がウィキペディアにも挙げられていますね。
仕事が多様化するなか、「労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種」が出てきていることは確かです。そんな「新しい働き方」に対して、新たな制度が作られることは良いことだと思っていますが、適切に運用できるような職場環境を整えることが必要だと思います。