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36協定届作成支援ツールを使ってみた【36協定締結周知月間記念企画】

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36協定締結周知月間

「時間外労働を行うには36協定が必要です。」 ~ み(3)んなで、む(6)すぼう!36協定 ~

大阪府では「平成31年1月16日(水曜日)から同年2月15日(金曜日)まで」36協定締結周知月間です。

そこで、記念企画として、「作成支援ツール」を使って、36協定を作ってみました。

まず最初に、全体の感想をまとめてみましょう。

けっこう使いづらいです。

必要な箇所に必要な情報が「入力上の注意」というカタチで表示されるようになっているのですが、わかりにくい文章です。

「入力内容を点検する」というボタンがあって、エラーチェックをクリアすれば次のページに移動できるようになっていますが、エラーの内容もイマイチわかりにくかったです。

ただし、もともと、36協定届というものが、すっごくわかりにくいです。労働基準法のいろいろな条文に関連があって、「キチンと理解した上で作成している人がどれくらいいるのかな」って思ってしまうぐらいです。ぶっちゃけていうと、私が社労士になる前、会社で36協定届を作っていたときは、基本、前任者の協定届をコピペしていました。「作成支援ツール」では、すくなくとも「必要な箇所に必要な情報」が表示されるようになっているので、たとえそれが「わかりにくい文章」でも、理解のヒントになります。

今の時代、「理解のヒント」があれば、インターネットで検索して調べることができますからね。ほんと良い時代です。この記事も、作成支援ツールを使う人の参考に少しでもなれば、たいへんうれしいです。

ってことで、私が使ってみて「ひっかかったポイント」をまとめてみました。

ログイン画面では、どれを選ぶのがいい?

「作成支援ツールはこちら」というボタンをクリックすると、ログイン画面になります。しかし、初めて作成する場合は、画面を下にスクロールして、「初めての方へ」か「ゲストで作成」を選択する必要があります。

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「初めての方へ」「ゲストで作成」選択画面

「初めての方へ」を選択すると、初めての方へ向けた説明画面がでる・・・のではありません。「WEB診断登録ユーザー」の登録画面がでます。

「会社名」「会社の所在地」などが、こまかく聞かれます。まっとうな感覚であれば、ココに詳細な情報入力することを躊躇すると思うのですが、「初めての方へ」を選択して「WEB診断登録ユーザー」になることを強くおすすめします

理由はカンタンです。ゲストで作成した場合、内容を登録保存できないからです(チェックボックスを選択できないようです)。

作成支援ツールを使って始めて36協定届を作成するには、想像以上にテマヒマがかかります。「WEB診断登録ユーザー」にならないと、途中で中断できず大変です。

チェックを忘れるな!

入力画面の右上に「記入例を表示」というボタンがあります。クリックすると記入例のPDFが表示されます。薄い水色でマークされている箇所がこれから入力する箇所です。一度確認しておくとイメージがつかみやすいと思います。

上部に「「入力上の注意」を見たら□に✔してください。」と書いてあります。

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見たらチェックしてください

「見たらチェックしてください」ってコトなので、見なければチェックしなくても良いのか・・・というと、そうではありません。チェックしないと先に進めません。かならずチェックしてください。私は36協定の作成経験があるので、このあたりに書いてある程度の「入力上の注意」は読まなくてもわかります。で、ついチェックせずにいたのですが、最後にエラーのヤマがでました。

チェックをしないまま、すべて入力した後、「入力内容を点検する」をクリックします。すると、エラーがでるでしょう(たぶん)。

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入力内容を点検する

赤文字で表示されたエラーをクリックすると、エラーの箇所までスクロールします。けっこう地道な作業です。ひとつひとつエラーを解消して、やっと次に進めます。

エラーが出た人、がんばってください。エラーが出なかった人、おめでとうございます。

注意事項は必ず確認

次の画面の上部にも注意事項が書いてあります。「(1)〜(3)のブロック全体で入力する必要がない場合には「入力・保存しない」の□に✔を入れてください」「数字は半角で入力してください」「正時の場合には「分」の入力ボックスに「0(ゼロ)」を入力してください」という部分、間違いやすい部分です(私は、ロクに読まずにすすんで、すべてハマりました)。

むやみに「前の画面」に戻らない

ところで、次の画面に遷移したあと、前の画面に戻りたいときはどうしたら良いのでしょうか? 画面を見ても、それらしいボタンが見当たりません。 で、つい「ブラウザの戻るボタン」を押してしまうと、フォームの再送画面になり、再送信すると「不正な操作を検知しました」というエラー画面になります。

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フォームの再送画面
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不正な操作を検知しました画面
心が折れそうになりますが、くじけずに「戻る」ボタンをクリックすると、無事、前の画面に戻れます(私は戻れました)。 ただし、人によっては、前の画面にもどれず、内容が消えてしまったという人もいるようです。 「WEB診断登録ユーザー」になっていれば、すべて入力し終わった後、内容を保存することができるので、また呼び出して修正することができます。むやみに「前の画面」に戻らないで最後まで進み、内容を保存したあとで修正するというスタイルの方が安全かも知れません。

プルダウン選択肢は、左から順に選ぶとはかぎらない

たとえば、「1日を超える一定の期間」のところでは、まず、右側のプルダウン選択肢を選んでから左側を選択します。

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プルダウン選択肢画面
右側を選ばないと、左側のプルダウン選択肢は選べないので注意してください。

休日は、かならず1つの曜日を決めなければならない

たとえば年中無休のコンビニの場合、「勤務シフトで従業員ひとりひとりに異なる休日を設定する」なんてケースがあるでしょう。 けれども、「その他の休日」の欄に、「シフトにより従業員ごとに1週間に1回の休日を設定する」とか「添付した勤務カレンダーによる」などと書いても、エラーがでて先にすすめません。 かならず、日曜日から土曜日までの、いずれかの曜日にチェックが入ってないと、先に進めないようです。 たとえば、画像のように「その他の休日」のみの記載だとエラーになりました。

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その他の休日の画面
労働基準法35条を確認してみましょう。

(休日) 第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

○2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

労働基準法第35条より

ってことで、法定休日について、労働基準法上、曜日を明示するところまでは求められていないと思うんですが、どうしたらいいんでしょうね。

結果、PDFが作成される(カンタンに修正できない)

結構苦労するのですが、入力が終われば、結果をPDFで出力することができます。

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36協定例
PDFの内容をカンタンに修正できるソフトを持っていれば良いのですが、ない場合、ちょっとした修正でも、保存してあった入力画面を呼び出して修正しなければなりません。 このとき、すべての「入力上の注意」が未確認にリセットされます。 したがって、チョコっと修正して次にいこうとすると、「入力上の注意は全て確認されましたか?」というエラーメッセージがでて、次にすすめません。 とても面倒くさいです。

新様式では、まだ作れない。

法改正により、36協定の様式があたらしくなることが決まっています。大企業の場合「2019年4月1日以後の期間のみを定めた36協定」に対して上限規制が適用されます。

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36協定の経過措置
新様式で提出しなければならないときでも、まだ作成支援ツールが対応していないので、ワードで提供されている様式で作成する必要があります。 「改正された36協定の新様式に対応した36協定届等作成支援ツールについて、平成31年2月中のリリースを目指し、現在開発中です」ということです。 願わくば、入力したデータが、新様式にもキチンと引き継げるといいですね。

最後に(まとめ)

36協定届の作成経験者であっても、なかなか苦労しました。 世の中には、36協定の締結・届けが必要にもかかわらず、おこなっていない中小企業がゴマンとあると思います。 「作成支援ツール」なのですから、こういう「必要があるのに36協定届をおこなっていない中小企業」がカンタンに作れるようなツールであれば良いと思うんですが、まだまだむずかしいようですね。

ただ、こういった動きが広がっていくことで、どんどん使いやすいサービスがでてくるものと思います。AI技術などが応用されれば、飛躍的に使いやすくなるでしょう(たぶん)。 そういった技術が実現するまでは、36協定関係について「お近くの社労士」に相談するのも、一つの方法です(かるく宣伝)。