同一労働同一賃金は、働き方改革の中でも、とりわけ大きな柱のひとつです。
しかし、その実現には壁があります。「終身雇用・年功序列」という名の壁です。
この壁を突破するための「いとぐち」として、ライフネット生命・出口治明氏は、「定年の廃止」を提案されています。
同一労働同一賃金の実現には ここから手を着けるのが一番早い(ライフネット生命・出口治明)< Jcast 会社ウォッチ >
今現在の法律がどうなっているのかといえば、「60歳未満の定年の禁止」と「少なくとも65歳までの雇用確保措置」です(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)。
結果として、平成27年では、定年到達者のうち継続雇用された人は82.1%にものぼります。(平成27年「高年齢者の雇用状況」集計結果より)。このとき、継続雇用された人は、定年までの賃金水準を維持して継続雇用されたとは限りません。雇用条件を切り下げられて継続雇用された人もたくさんいるのです。
つまりこの状況は、定年以後の継続雇用期間の雇用条件を切り下げることで、定年までの年功賃金を維持している・・・と見ることもできるのではないでしょうか?
「定年の廃止」と「雇用確保措置」は違うと思いますか?
私も「違う」と思いたいのですが、過去、「55歳定年制」が廃止されたときも、「役職定年制」などの導入で年功賃金が維持されてきた経緯があります(多くの企業で、55歳前後に役職定年と称して役職手当廃止などの雇用条件切り下げが実施されるのは、このときの経緯が原因のひとつと考えられます)。
昨年、「定年後再雇用」の賃下げめぐる控訴審で、従業員側が敗訴しました(つまり、定年後の雇用条件切り下げが認められたということ)。
「定年後再雇用」の賃下げめぐる控訴審、従業員が逆転敗訴「賃金差別、納得いかない」< 弁護士ドットコムニュース >
従業員側は最高裁まで争う意向のようです。
出口氏が提案する「定年廃止を突破口に同一労働同一賃金を実現する」手法が、うまく機能するかどうか、この裁判の結果が大きな影響を与えると思います。この裁判で従業員側が負ければ、定年を廃止しても、60歳以降の雇用条件を切り下げることで年功賃金が維持されるかもしれないということです。そして、年功賃金が維持されるのならば、同一労働同一賃金の壁となったまま・・・ということです。 (答えはひとつとは限らないですが・・・)
みなさんは、どう考えますか?
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