話題になってますね。
マイクロソフト、GitHub を 75 億ドルで買収へ
マイクロソフトはGitHubの買収で、オープンソースの世界にも「君臨」する
で、ふと疑問に思ったでしょう。「Githubってなに?」と。
「ギットハブ」と読むようですが「ジットハブ」とフリガナが振ってある本を読んだ記憶もあります。欧米人が発音すれば、ギットハブでもジットハブでもない発音をするんでしょう。
McDonald(マクドナルド)が「マック」と「ドナルド」であるように、GitHubは「Git」と「Hub」の元は2つの言葉です。1つづつ確認してみましょう。
Wikipediaによると
Git(ギット[2][3][4])は、プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するための分散型バージョン管理システムである。
Wikipedia Gitより
GitHub(ギットハブ)はソフトウェア開発のプラットフォームであり、ソースコードをホスティングする。コードのバージョン管理システムにはGitを使用する。
Wikipedia GitHubより
Hubには、中枢や拠点といった意味があるようです。
その他の「Git」「GitHub」を説明しているサイトを見ても、「リポジトリ」だの「リモートサーバ」だのと、私達が一生使うことがないであろう単語がならんでいます。
この説明を読んで、「一般的な事務作業をする会社員には関係ない話だな・・・」と思われる方もいるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。Gitは「バージョン管理システム」であり、GitHubは「オンライン上でGitを管理するサービス」です。
バージョンとはもちろんアプリやソフトウェアのバージョンですが、日本語でいうところの「版」のことですので、バージョン管理システムとは「文書の変更履歴を管理するシステム」ということになります(アプリやソフトウェアのプログラムも文書です)。
私達が一般的な事務作業の中で作り出す文書には、一度作ったら変更しないモノ(改ざんダメ!絶対!!)と、変更・更新していくモノがあります。たとえば、「マニュアル」とか「指示書」とかは、業務が変更・改善されたり状況が変わったりすれば、当然、更新されていくモノですね。
この「変更・更新」作業を進める中で、「マニュアル.doc」とか「マニュアル180607.doc」とか「マニュアル(仮提案).doc」とかが大量に作り出され、さらにはチームメンバーのAさんのフォルダに入っている「マニュアル.doc」とBさんのフォルダの「マニュアル.doc」と部長が持っている「マニュアル.doc」が、すべて更新日が違う・・・なんてヤヤコシイ大混乱に陥ることはありませんか?
ソフトウェア開発の現場では、大量の文書(ソフトウエアのコード)を適切に管理しないとドエライことになります。「,」が「.」だったとしても正常に動作しない世界です。「てにをはの使い方がオカシイけど、ま、意味は通るよね」というようなヌルい世界ではないのです。
そこで開発されたシステムが「Git」です。Gitを使えば、文書の変更履歴が記録され、過去の任意のバージョンにカンタンに戻したり確認したり、個々のバージョンにコメントをつけたり、チームで共同して改訂作業をする場合に適切に管理したり・・・といったことが可能になります。
つまり、Gitは「文書の更新管理をしなければいけないすべての業務で、便利に使うことができる」可能性があるシステムということができます。
ここで、社労士である私は、ふと「ある文書」のことを思い出しました。社員10人以上の会社には必ずある(はず)の文書「就業規則」です。毎年のようにある法改正に対応するため、頻繁に改訂する必要があります。また、キチンと変更管理をしないとドエライことになる文書です。
「就業規則」を「Git」で管理している会社はあるのだろうか?
Gitは、かならずしも公開を目的としたシステムではないので、GitHubで就業規則を探してみました。
たとえば、ここ
弊社もGitHubで就業規則を公開しました。
公開されている就業規則はコレ
Translimit/company-regulation
「Latest commit」が「4 Jan 2016」であることがちょっと気になりますが、上部の「Issues」や「Pull requests」のタブをクリックして切り替えると、利用イメージがわかりやすいのではないかと思います。
もうひとつの例はコレ
DenkiYagi/EmployeeHandbook
固定残業制度を採用されているようですね。
こちらの会社の就業規則は7件のIssuesの履歴がありますので、より具体的な運用状況が確認できます。
これらの会社が就業規則をGitHubで公開しているのは、「採用や広報の武器にする」ことが目的とのことです。技術系の人材や技術関連の業界に対しては効果があるのでしょうね。
公開することにはメリットやデメリットも考えられるので慎重に検討することが必要ですが、Gitの履歴管理は、公開をせずに社内だけで運用することが可能です。
働き方改革をすすめる上では、このような「便利に使える既存のツール」を利用できないか、検討することも1つの方法だと思います。