今回は、“「少し早めに仕事を終える」って、全員早く帰ったら仕事どうするんだよ!!問題”の3回目です。「完結編」っていうのも、なんだかおこがましい感じがするので、蛇足編としました。
第1回目、第2回目はこちら
プレミアムフライデー!「少し早めに仕事を終える」って、全員早く帰ったら仕事どうするんだよ!!問題(会社の独自休暇創設編)
プレミアムフライデー!「少し早めに仕事を終える」って、全員早く帰ったら仕事どうするんだよ!!問題(有給休暇活用編)
それぞれについて、思いつくままに、蛇足を書いていきましょう。
会社の独自休暇創設編についての蛇足
会社が強制的に従業員を2時間早帰りさせたとき、労働基準法第26条を根拠とする「休業手当」の支払い義務について
支払わなければならないのは、「早帰りさせた2時間分の賃金の60%」ではありません。「現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の百分の六十に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない(昭27.8.7 基収3445号(基収とか基発とかいうのは、労働基準局長が法律の解釈を伝えた通達です)」という取扱いです。
たとえばフルタイムで働く人(週5日、1日8時間)を、会社が強制的に2時間早帰りさせても、労働基準法の休業手当を支払う義務はないでしょう。ただし、民法第536条に規定する賃金補償の問題は残ります。
有給休暇活用編についての蛇足
有給休暇取得の理由について
会社の有給休暇の申請用紙に「取得理由」を書く欄がある場合がありますが、「法律上はこれをいかなる目的のために利用しようと関知せず、休暇の利用目的が休養のためでないという理由で使用者が拒否することは法律上認められない(厚生労働省労働基準局編 労働基準法)」ということになっています。
具体的には、「プレミアムフライデーのイベントに参加するため」みたいな理由で有給休暇を申請してもかまわないということになります。
全従業員が一斉に「月末金曜日を休みたい」といってきた場合は?
裁判では、「いわゆる一斉休暇闘争のようにストライキ(同盟罷業)のために申請された年次有給休暇の利用を認めなかった例」があります。
さすがに「全従業員が一斉に」有給休暇の取得を申請してきたら、会社は「時季変更権」を行使して、申請された有給休暇の取得日の変更ができると思いますが、「月末金曜日の有給休暇の取得を一切認めない」ということはできないでしょう。
だれを休ませて、だれを休ませないか・・・考えただけでも頭の痛い話ですね。
半日単位の年休についての補足
半日単位の年休は、「労働者が希望し、会社が同意した場合」に認められるという、特別な年休です。
その他の年休(1日単位の年休、時間単位の年休)では、会社の同意は必要ありません(会社が同意しなくても、休むことができます)。
実務的に、プレミアムフライデーの実現に、半日年休を活用するにはどうしたらいいでしょうか?
たとえば、会社が月末金曜日の半日年休の取得を「推奨」し、取得を希望した労働者の半日年休を、業務に支障がでない範囲で「同意」して取得させる・・・という運用が考えられます。
これは、あくまでも「半日年休に限定される」運用です。
たとえば、半日年休の取得に同意されなかった従業員が、あらためて1日単位の年休を申請した場合、会社は原則的に休ませなければなりません。
まだまだ書き足りないことはありますが、キリがないのでこの辺で・・・。
それではみなさま、ステキな月末金曜日を(^^)/。
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