適正な労働時間の管理を行うための第一歩は、なんといっても「見える化」です。
といっても、「見える化」するために人手をかけていたのでは、生産性が落ちたりサービス残業につながったりするかもしれません。
「見えるシステム」を構築するのが一番良いと思います。「長時間残業抑止ツール」です。
富士通エフサス、長時間残業抑止ツールで大和ハウス工業の働き方改革を支援< クラウドWatch >
ただし、これはあくまでも、適性な労働時間管理をおこなうための「第一歩」にすぎません。見える化した現状の問題点を解決するために、「個人として」「組織として」どのような対策をおこなうのか・・・という部分が、もっとも重要なことです。
裁判例をひとつご紹介しましょう。東急ハンズの過労死事件です。
弁護士さんによる詳しい経緯がこちらにまとめてありました。
東急ハンズ過労死事件が神戸地裁判決を経て和解解決< 兵庫民法協 >
誤解をおそれず、内容で目についたところをつまんでみると、
- 会社では「残業予算」と呼ばれていた残業時間枠が予め設定されていた。
- さらに、毎日のように朝礼や夕礼などで「残業は計画的に」という話をするなどして,日常的に残業予算遵守を繰り返し指導していた。
- 一方では、残業予算の遵守が不可能な業務量が与えられていた。
- さらにマネージャーら上司から雑用を押し付けられることも多かった。
- 会社は、サービス残業の事実が明らかになっても、適切な対応をしなかった。
- 会社は原因究明も負担軽減も一切しないまま,単に退勤打刻後の居残り残業監視を厳しくするという取り締まり強化だけを行った。
結果的に、かけがえのない命が失われた事件です。
本質的な対策をとるより、取締強化をするほうがラクです。なにも考えないで良いんですからね。でも、ソレで会社の責任を免れることはできません。ツールを導入しただけで、対策をとった気になるのは、単なる錯覚です。
労働時間を見える化して枠を設定することは、重要な第一歩です。定められた枠の中でどのように業務を行うかということは、最も重要で本質的な取組です。第一歩を踏み出しただけで「最も重要で本質的な取組」をしないのは、手抜きと言われてもしかたないのでは・・・と思います。とても重要な注意点です。